8823についてのこと
スピッツに「8823」という曲がある。
アルバム「隼」に入っている。
この曲を初めて聴いたときの事を覚えている。
高校生のころで、一緒に下校しようとした友達がすごく良い曲があると校門を出る一歩前あたりでMDプレイヤーを再生してくれた。
借りたイヤホンから、落ち着いたイントロが流れてくる。
ふーん、という感じで聴いているとサビ直前で急に楽器が盛り上がる。ジェットコースターが知らぬ間に上りきっていたかのようだ。
そしてそのままサビ。全ての音が噛み合いながら疾走する爽快なメロディーが体に流れ込んできた。
首の後ろあたりが痺れる。
なんて格好いい曲なんだ!!
そのMDを借りて繰り返し聴いた。
夏休み(8月だった)の美術の課題も8823をイメージして描いた。
それから10年以上経過したが、今もよく聴く。
スピッツの曲全般に言えるが、何度聴いても、その何百回目で初めて気づくことがあったり、受け取り方が変わったりする。
今日8823を聴いていて、一つ思ったことがあった。
8823はサビで「君を自由にできるのは宇宙でただ一人だけ」というフレーズを何度か繰り返す。
この曲は愛の曲だ。
だから文脈を読むに、これが意味するのは「君を自由にできるのは宇宙でただ一人=僕」ということなんだと解釈してきた。
これはごく個人的な考えだが、私は自分を自由にできるのは自分だけだと思っている。
何かに呪いのように囚われてしまったとき、それを解く鍵を他人が与えてくれることはあっても、自分を解放する最後の一手は必ず自分が打つしかないと思う。自分しか打てないと思う。
だから、歌詞のこのフレーズだけは、私の考え方と合わないなと思って聴いてきた。
あくまでこの歌の主人公がそう歌っているという感覚で聴いてきた。
だが、ふと今日、君を自由にできるのは宇宙でただ一人、君だけだよ!とこの歌の主人公が「君」に向けて言っているのでは?と感じた。
もしそうだとしたら、それは私が思う愛にとても近いと思う。
君を自由にできるのは他ならぬ君だけだと教えてあげること。
そうだといいなと思ったし、今日から私はそう解釈して聴いていきたい。