パスタの記録
パスタを頻繁に食べるようになったのはここ半年くらいのことだ。
18年暮らした実家では、そんなに食卓に上がらないメニューだった。
料理は母が作っていたが、母はニンニク全般が苦手な人で、自分の苦手なものを調理しない人だった。
なので、我が家のパスタはニンニクが入らなかった。
ナポリタンかミートソースか母オリジナルの和風パスタ(めんつゆ味)、三択だった。
それらも美味しいは美味しかったが、特別好んでいたわけではなかった。
他にも美味しいメニューはあったので。
親元を離れてからも、なんとなく実家のメニューに影響され、パスタをそれほど作らなかったし、作ってもニンニク抜きだった。
それがここ半年で急変した。
きっかけはカレー沢薫さんのエッセイにハマったこと。
その中でカレー沢さんは「365日のうち360日はペペロソチーノを食べている」というようなことを書いていた(どのエッセイでのことかは忘れてしまった)
ペペロンチーノはほとんど食べたことがなかった。
そんなに良いのだろうか。
ひとまず麺と、麺にかけるだけのソースを最寄りのスーパーで購入した。
一口食べて、なるほど!!!と思った。
美味しい。
ちょうどいい美味しさだった。
毎日はさすがに飽きるかもしれないが、頻繁に食べたくなるタイプの味。
それからしばらく、市販ソースのペペロンチーノを食べていた。
だが、一番の問題は、私が辛いものを基本的に苦手とすることだった。
ペペロンチーノは当然、唐辛子を使っている。
(一応説明すると、ペペロンチーノはオリーブオイル・ニンニク・唐辛子で構成されたパスタだ)
味は美味しいけど、一口食べるごとに辛さで咳き込むため、大分死にそうな様相で食事に励まなければならなかった。
そんな私が、イチオシなのはセブンイレブンのペペロンチーノソースだ。
辛さはほとんどない。
味もマイルドで美味しい。
ただ麺にかけるだけでもいいのだが、
私は麺を茹でる際に冷凍保存していた舞茸・エリンギなどを一緒に鍋に入れ解凍し、麺と一緒に食べるのが気に入っている。
冷凍エビがあれば尚良しだ。
しばらくそうして食べていたが、
ペペロンチーノでない、辛くない自分なりのパスタはできないものか?と思うようになった。
ひとまず、冷凍シーフード・キャベツ・ベーコンをオリーブオイルとニンニクで炒め、麺を投入してみた。
それなりだった。
何回か作ったうち、一回だけ奇跡のように美味しかった。
だが、麺の茹で加減や野菜・シーフードの水分にかなり左右されやすい。
キャベツの変わりに白菜を入れたこともあったが、やはり水分調整が難しかった。
味付けも難しい。
塩コショウだけでは物足りないので、めんつゆや醤油を入れてみたが、調整を誤ると和の風味が強くなりすぎる。
面倒だな。
手間や材料費に、得られる満足度が比例してないと思った。
調理をやめ、市販ソースで食べる日々を再開。
ある日、スーパーで半額になった水菜を見かけた。
水菜を調理したことが無いことに気付く。
ニンニク同様、実家の食卓には登場したことがなかった。
もしかして、これパスタに合うんじゃ…?
スマホで、水菜 パスタで検索する。
沢山のレシピが出てきた。
購入し、帰宅。
オリーブオイルにニンニク、ベーコンと水菜を炒め、塩コショウ。
そこに茹でた麺を投入し軽く混ぜた後、醤油を少量回しかけ炒めて完成。
食べる。
これだー!!!!!
美味しかった。
何より、手間と材料費が満足度と釣り合っていた。
ベーコンをツナに替えても美味しかった。
私の中で、スター野菜というのがあり、
ニラと舞茸がそれなのだが、水菜は恐らくスターではない。
単品では輝かない。
だが、何だろうこの良さ。
肉と一緒に鍋にしても美味しかった。
油や味の主張が強いものと一緒にすると、水菜はひときわ輝く。
まだ君のことを私は深く知らない。
だから、これから一緒に探していこう。
長い付き合いになりそうだ。