まだ寝てていいよ

思いついたことをテキトーに

走る

 

6~7月、腹に据えかねることがあり、精神的にまいっていると感じていた。

過去に何度かメンタルをやっているので、その兆候をびんびんに感じて、このままではまた自律神経が狂う!!と怯えた。

 

走りに出た。

もう何も考えたくなかったが、家でじっとしていると頭の中がノンストップでストレス要因のことを延々に考えてしまう。

なので、走りに出た。

 

私は匿名ラジオのファンなので、匿名ラジオを聴きながら走った。

匿名ラジオは一回がだいたい10分前後で、どれくらいの時間走ったかの目安にもなる。

 

走りに出るのは夜、それも22時前後が多かった。

人通りの少ない夜道を、ひたすら駆けた。

 

運動と縁の無い十代だった。

運動能力皆無。

部活はずっと文化部。

体育は基本的に心を無にして挑む。

 

高校を卒業し太ってきたため、二十歳前後はまれにジョギングやウォーキングをしていた。

 

それもパタリとやらなくなって久しかった。

しかし身体は、その時ぬるく覚えた呼吸法や足の動かし方を覚えていた。

走ると、身体が前へ前へと動く。

 

 

日常的にろくに運動していない身体では、すぐに息が上がった。

苦しくて何も考えられなくなる。

匿名ラジオの愉快な会話だけが耳元で再生され続ける。頭にまでは届かない。

 

そう長くは走れない。せいぜい20分だ。

帰宅すると、汗がひたすら流れる。

ヒートアップした身体を落ち着けるために整理運動をし、深呼吸。

身体は心地よい疲労感に包まれた。

 

この一時だけは、ネガティブなことから解き放たれる。

苦しかった、気持ちよかった。

それだけになる。

 

健康な身体に、健全な精神が宿るのはあながちデタラメではないのかもしれないとその時感じた。

連夜走っていたら、憂鬱に心を支配されることはなかった。

文字通り逃げきったと思う。

 

7月以降は、連日の猛暑で走りに出るのはデッドオアダイといった状況で、結局習慣にはならなかった。

だが、また憂鬱に押し潰されかけた時は走りに出ようと思う。

何度でも逃げ切ろうと思う。